第4回 DIA中国智造大賞(Design Intelligence Award)
2019最終審査会および授賞式
平川 真紀

DIA (Design Intelligence Award) は中国美術学院主催、浙江省政府後援で発足したデザイン賞で、デザイナーや起業家によるプラットフォームの実現、デザインによる産業の活性化を主たる目的として創設されました。世界各国からエントリーを募っており、多額の賞金も特徴のひとつです。JIDAはこの賞の協力団体として第1回より優れた日本の製品デザインの推薦を行っています。
第4回目の今年は世界52カ国から7,280点の応募があり、Top22に選出された候補者が現地での最終審査会にてプレゼンテーションを行いました。日本からは4点がTop22に選出され、JIDA推薦からは3点がSILVER(銀賞)を受賞、TOP175となるHonorable Mentionには12点が入賞されました。また、昨年DIAからの派生で始まった義烏市後援の賞、Design YiwuではFIRST PRIZE(1等賞)の受賞が叶いました。
Air Light Touch Binder AIRKARU
プラス株式会社
コクヨ株式会社
アディダス
GALA
山麓社・佐藤圭多
今年の受賞は下記リンクよりご覧いただけます。
https://en.di-award.org/collections.html
デザイン賞の評価基準の大きな軸が「イノベーションやソーシャルインパクト」へシフトしていることはどのデザイン賞にも共通であり、またその地域のデザインの成熟度や理解、社会的背景などは賞の方向性に影響があるものかと思います。加えてこの賞では何よりも「今、その社会がデザインに何を期待しているのか」が如実に評価に現れているようにも感じます。まだまだものをつくるスピードや勢いが強みの現在の中国では、わかりやすく起業や事業拡大に直結するもの、話題性で促進剤となるようなものに高いバリューが置かれているようにも感じます。
ご存知の通り背景には国、そして省政府が産業振興の最重要ファクターとしてデザインを捉え、行政として莫大な予算を投入していることがあります。国際的な大規模デザインイベント等も増加の一途で日本のデザイン業界から眺めるとある意味では羨ましい部分もあります。
昨年から始まった義烏市(浙江市近隣の世界的にも有数の日用品の産地)での賞、Design Yiwuも軽工業が盛んな地域の行政がデザインを有効活用しはじめた一例で、今後同様の動きは中国全土でますます拡大されることが予想されます。そのような政策推進の中で、行政と企業の架け橋の役割も果たせるデザイナーへの期待やニーズは高まる一方という印象を受けました。
2020年度もJIDAでは継続してこの賞への推薦を行う方針です。応募は無料ですが製品化2年以内、または製品化可能なプロトタイプがあることが必要です。来年のみなさまからのご応募をお待ちしております。
■執筆者プロフィール
●平川 真紀 (ひらかわ まき)
有限会社ヒラカワデザインスタジオ 代表
URL: http://www.hirakawa-design.com
金沢美術工芸大学 産業美術学部 工業デザイン学科卒。
松下電工株式会社(現・パナソニック株式会社)勤務を経て2001年独立。
公益社団法人 日本インダストリアルデザイナー協会 理事(2015年〜)
2013年よりJIDA渉外委員として活動。
2015年よりスタンダード委員会担当理事、渉外委員。
2019年度より渉外担当理事。
海外ネットワークの強化など「Value Up JIDA」に向け日々奮闘中。