第82回東京インターナショナル・ギフト・ショー秋2016
JIDAブース報告
文責:江藤 太郎
2016年9月7日から9日までの3日間、東京ビッグサイトにて、「第82回東京インターナショナル・ ギフトショー秋2016」が開催。JIDAの出展は、2009年の初出展から今回で15回目になります。
会期:2016年9月6日(水)〜9日(金)
会場:東京ビッグサイト西ホール3F
出展者: 飯田 澄人 、江藤太郎 、勝俣貞治 、加藤雅之 、小池 聡、小林浩一 、下江廣満 、角南 健夫 、橘 晃 9名 9ブース
主催:JIDA東日本ブロック デザインメーカーズ委員会
私は、JIDA中部ブロックからの出展で昨年に引き続き2回目。初回は経験不足のため右往左往し落ち着いて対応できなかった事もあり、今回はその反省と出品を決断した目的と、ギフトショーの意義・魅力をデザイナーとして、考えさせられる3日間を体験したしだいです。
名古屋からの参加はホテルの宿泊・荷物の搬入等、労力を要しましたが、やはりショーへの展示は新たな事業の展開を皮算用し新鮮で前向きな姿勢になれる実に楽しい場です。 しかし、展示ブースの設営と製品パンフレットだけを用意してショーの最終日を迎える事が終わりでは無いこと、ショー終了後からデザインメーカーとしての真のデザイン力が試されるわけです。
長野県の諏訪湖に近い㈱タカネとう小さな時計専門メーカーと組んで立体的な針だけの壁掛け時計を機構も含め共同開発し[ブロック・クロック]というブランドを構築。小企業であるが技術力は優れている企業との商品開発は企業経営にブランディングデザインの活用は欠かせない時代であることを認識させたいためのショーへの参加でした。デザイナー自らマーケッティング戦略を具体化し体験できる絶好の機会であり、メーカー営業との同行で商品品質のレベルを他ブースの商品と比較しその感覚を学ぶことができる。中小企業の営業にとって重要な商品価値を判断できる知識を養う事ができる良い機会です。もちろんデザイナーとの感覚の共有化が展示会を通して経験できたことです。
企業の9割以上が中小企業であり、技術力はあるが、商品化への道程が分からず自分たちの都合だけで製品化するが売れない商品となってしまう。デザイン力によって商品化へ結び付る事がデザイナーにとっての大きな課題でもある。ショーへの単独での展示は中小企業にとって予算的に非常にハードルが高く実現は難しいがデザイナーと共に低予算で展示できるJIDA主催のこの機会の意味はデザイナーと企業にとって有益な、すばらしく価値のあるJIDAの事業であると考えます。

今回のショーは日本最大で日本の流通を支える幅広い消費財が集約。来場者数は40万人の規模でバイヤーの大部分の目的は情報収集です。「営業案件の獲得」と最終的な「新規顧客の獲得を得るための商品感覚を基本としたマーケットの見識・才能は、デザイナーは優れていると感じます。つまり、詳細な商品コンセプトを十分理解し説明ができるのは、デザイナーということです。(駆け引きはうまくないかな?)
多くのバイヤーとのやり取りは実に楽しい。卸問屋経由の商売はデザイン云より、売り易い商品という事。売り易いとは、利益率が高く商品はソコソコだが魅力あるものが求められている。知っておく情報ではあるが、デザイナーのプライドとの闘いか。兎に角、マーケット情報は面白いしバイヤーの行動は嗅覚で商品選びをしている。是非デザイナーはこのようなショーの活きたマーケット情報に触れてほしいと思う。
今回のJIDAブースはデザイナーが展開したセルフプロダクトが大半であった。中小の企業の技術を使い予算を組み商品化し販売先を見つける。デザイナー自身の考え方を形にしたモノを売っていくメーカーとしての立場である。顧客のニーズを正確に把握しタイムリーに、しかも低価格で商品を顧客に提供する顧客志向。 マーケットインの考え方がデザイナーに要求されるがデザイナーとして顧客志向だけで良いのか、その先にあるもの。深く考え抜かれた魅力的な形や機能の追及は、やはり思想的(ポリシー)な考えから、デザインの方向性を導く必要性を思う。
懇親会を兼ねた交流会が9/8日の中日に新橋の料理屋で行われた。参加者のショーへの考え方と情報交換のすばらしい場であった。ギフトショーJIDAブース出展の初期から参加してこられた堀越敏晴氏も懇親会に見えて貴重な話を伺えた。中小企業にとってのデザイナーの役割についての具体的な事例と思いを聞け、デザインビジネスのさまざまな可能性を確信することができたこと。
ジェコル㈱の加藤氏(デザインメーカーズ委員長)は間違いなく、この事業の成功者です。現在、会社の売上の9割以上がメーカーとしての売上だそうで、元々はこのJIDAブースの出展がきっかけ。話題の商品としてテレビ等のマスメディアに紹介され、定番商品として在庫切れの人気で順調に売り上げ、社会に受け入れられています。デザインビジネスの成功例が身近に感じられ勇気がもらえます。(加藤さんのパワフルな明るさかな)
おわりに、この事業の益々の発展と、ワクワクするような、多くのデザインビジネスの成功を祈念するとともに、このような機会を設けていただいたJIDA東日本ブロック デザインメーカーズ委員会の皆様とこれまでにかかわった諸先輩方に感謝申し上げます。

■参加デザイン会社
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勝俣貞治/カツマタデザイン 代表
JIDA東日本ブロック 会員
静岡県沼津市出身。東京デザイナー学院 工業デザイン科卒。
天馬株式会社入社し主にインテリア用品、キッチン用品、サニタリー用品などの日用品の開発に従事。在籍期間中、Fit’sブランドの主力製品の開発を担当。企画からデザイン、設計までの幅広い業務を行う。構造を考えたデザインを得意とし、実用新案9件/特許5件/意匠登録25件取得。2014年カツマタデザインを設立し現職。
【カツマタデザイン】
■TEL:03-6312-3327
■Eメール katsumata@tj8.so-net.ne.jp
■WEBサイトhttp://www.design-kd.com
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飯田澄人/スールーデザイン・スールーイラスト&デザインスクール代表
JIDA中部ブロック準会員
静岡県出身。大阪芸術大学にて芸術やデジタルコマーシャルフォトを学び、広告制作会社での仕事の中でモノづくりに巡り合い衝撃を受け、モノづくりの仕組みを一から学ぶ為、自動車メーカー・建築事務所兼工房などを経て、釣り具メーカーのCAD部門の立ち上げ後、独立。2014年よりデザインスタジオ・スールーデザインを設立。並行してイラストレーターとしても活動。2016年より、スールーイラスト&デザインスクールも立ち上げ運営する。
【スールーデザイン・スールーイラスト&デザインスクール】
■TEL:090-7438-7740
■Eメール surue.inq@gmail.com
■WEBサイトhttp://www.surue.net/
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加藤雅之/ジェコル株式会社 代表取締役
JIDA東日本ブロック デザインメーカーズ委員会委員長
東京都出身。都立工芸高校にて建築やインテリアを学び、アパレル販売を経て東京デザイナー学院プロダクトデザイン科入学。卒業後、カール事務器㈱に入社し製品やパッケージ等のデザイン開発に従事。2008年に退社しJERRY COLE DESIGN設立。デザイン全般の受託業務を行いながら2010年にフリーサイズブックカバー「アマネカ®」を発売。2014年には完全防水ブックケース「ユウブミ〜湯文〜®」を発売。TV等で大反響となり事業拡大。2016年に屋号変更&法人化し現職。
【ジェコル株式会社】
■TEL:042-505-5024
■Eメール info@jecol.co.jp
■WEBサイト http://www.jecol.co.jp
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小林浩一/Smile design
リ・デザイナー。デザイン事務所、家電メーカーを経て、2004年に独立。ID、グラフィック等を手掛ける。コクヨデザインアワード受賞。08年よりリユースプロジェクト/レディメイド委員会を開始、有志と共に廃材のリプロダクト提案などに取り組む。自然と共生する製品開発に力をいれており、森林資源の活用を「オフグリッド化」をキーワードに進めている。
【スマイルデザイン】
■TEL 050-3633-6012
■Eメール smiledesign@info.email.ne.jp
■WEBサイト http://smiledesign.tokyo/index.html
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下江廣満/サイド・デザインオフィス 代表取締役
東京都出身。育英工業高等専門学校工業デザイン学科卒業(現サレジオ高専)。団建築設計事務所を経て、カーイラストレーターとして独立(平凡パンチ、ポパイ、ブルータス等で執筆)。1982年、(株)オーブ入社。今のチャイルドシートやベビーカーの発展への先駆者に。1995年、ハラキン(株)入社。超軽量マグネシウム製や、チタン製の車椅子開発、各種福祉用具の設計開発。1997年、サイドデザインオフィス(有限会社サイド)設立。各種工業製品の企画開発、グラフィックス制作等、各種乗り物のデザイン・開発・販売を行う。
【サイド・デザインオフィス】
■TEL:049-263-3712
■Eメール info@side-design.com
■WEBサイト http://www.side-design.com
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江藤太郎/有限会社 代表取締役
JIDA中部ブロック
工業デザイナーとして、ミノルタ㈱にてOA機器デザイン開発に従事。1988年有限会社 造デザインアソシエイツを設立。企業の源流セクションに対しデザイン・設計の分野で提案、ユーザビリティに基本を置いたデザインを追求し数多くの企業から信頼を受け商品化されている。新商品開発等のデザインコンサルタントを基本業務としながら、中小企業との共同開発の中で、2016年9月に立体的な針のみの壁掛け時計「ブロック・クロック」シリーズを商品化し発売に至る。
【有限会社 造デザインアソシエイツ】
■TEL:052-896-5885 FAX : 052-896-5689
■Eメール zo@zodesign.net
■WEBサイト http://www.zodesign.net
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角南健夫/有限会社TSDESIGN 代表取締役
千葉工業大学 工業デザイン学科卒業。家具メーカーのインハウスデザイナーとして勤務後、2002年独立。家電、店舗什器、ロボット、自転車など、幅広い分野でデザインワークを提供。
2010年、自社事業としてアウトドアブランド「MONORAL」をスタート。折り畳み式焚き火台が注目され、メディアにも多く取り上げられる。近年は製品開発のみでなく、ブランド企画から販売まで中小企業へのメーカー事業立ち上げをトータルで支援している。
【有限会社TSDESIGN】
■TEL:042-703-4933
■Eメール tsdesign.ltd@gmail.com
■WEBサイト http://www.tsdesign.jp/
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橘 晃/デザインルーム 代表
札幌市出身。
1996 製品開発企業に入社。デザイン部署を開設。
2007 プロダクトデザイン事務所DesignRoomを設立。
工業デザイン(家電・生活雑貨・プロ向け機器・自動車オートバイ・自転車)・広告・グラフィック・家具デザイン等。
2005 MFJ全日本スーパーモタードmoto2ランキング8位
2010 バンタンデザイン研究所非常勤講師
2014 東京サイクルデザイン非常勤講師
鯖江市国際メガネデザインコンペティション・かわさき産業デザインコンペティション・グッドデザインアワード 等。
www.designroom301.com
〒252-0143神奈川県相模原市緑区橋本5-30-2武内ビル2F-B
TEL / FAX 042-719-5531
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小池聡/株式会社フォレストフィーリング
JIDA東日本ブロック デザインメーカーズ委員会副委員長
東京都出身。芝浦工業大学にて、情報工学を専攻。卒業後NECに入社し大規模プロジェクトのプロジェクトマネージメントとして従事。慶応義塾大学大学院にてMBA取得と共に在学中に起業。楽天市場にて花屋「878HANAYA」を開業。国産木材利用促進を目的としたKIZARAプロジェクト立ち上げ。焼杉のカラーパネルUROCOを展開。マーケティングのコンサルタントとしても活動。
【株式会社フォレストフィーリング】
■TEL:053-570-6539
■Eメール access@kizara.jp
■WEBサイト http://forestfeeling.jp/
■楽天 878hanaya http://www.rakuten.ne.jp/gold/8-7-8-hanaya/
■KIZARAプロジェクト http://www.kizara.org/
■UROCO http://uroco.org/wp/