ICSID第28回General Assembly(総会)報告 | Industrial Design

ICSID第28回General Assembly(総会)報告

2013年11月18(月)-19日(火) モントリオール市 Hotel Omni Mont-Royal

御園 秀一

タグ:ICSID    カテゴリー:JIDA

予定されていたトルコ・イスタンブールでの大会が政情不安によりICSID事務局が置かれるカナダ・モントリオールに変更され、総会のみの開催となった。

田中理事長に同行し、担当理事として初めて総会に出席したのでその概要を報告する。

(1) メンバーシップ

日本のメンバーはJIDAの他、日本デザイン振興会、国際デザインセンター、JAGDA、武蔵野美術大学とこの総会で加入を承認された千葉大学の6団体で、それぞれが1票の投票権を持つ。

(2) President-Elect及びExecutive Boardの選出

President-Electは2年後にPresidentとなる人を選ぶということ。2年間はPresident見習い期間ということか。南アフリカのDr. Mugendi K. M’Rithaaが選ばれた。

今回選出のBoard Memberは9名で、日本からはMemberであった西山氏の辞退により、千葉大学の渡邉教授が立候補したが公用で選挙のタイミングに間に合わず、前日の日本デザイン振興会主催によるJapan Nightの開催や、スピーチを代行した田中理事長のユーモアある紹介、更にロビー活動等により無事当選を果たすことが出来た。

(3) 2016 Word Design Capital が台北市に決定

台北市関係者はオリンピック招致成功の様な喜びであった。

(4) IDA(International Design Alliance)からの脱退

ICSIDも設立メンバーの一つであったIDAからの脱退の提案に対し、保留が多かったものの可決された。主な理由は、供出金に対しての見返りがあまりないことだという。但し、韓国光州市で開催予定の2015 IDA Gwangiu Congressの支援は確認された。

(5) 所感

私はかってISO/TC22(自動車)SC13(人間工学)の会議に日本代表として数年間出席していたが、国際会議というのは、どんな規模であれ国益を代表するものであるし、それぞれの国の事情も透けて見えて興味深いと思っていた。価値観の違う人達が集まって限られた時間で議論する訳だから、それなりの決まりごと(ルール)を尊重しないと何も決められないことになってしまう。

その意味において、このICSID総会の運営はしっかりしていたと思うが、それは事務局の担当者の手腕が大きいという印象であった。事務局には長年にわたってその活動や経緯を熟知している人がいないとうまく行かない。それは各国の代表も同様であって、こうした活動をある程度長く経験した人が次の人を育てて行かないと発言力はない。また、日本の各メンバー団体が互いに協調して、ワンボイスとなって会議に臨むという姿勢ももっと必要となろう。

ところで私の経験では、困るのは実は国際会議での議論の対立ではなく、そこでの意見表明や結論が自国内の関係機関や関係者の理解を得られるかどうかと言うことだった。極端な場合、国際会議での結論について国内の業界団体では了承されても自分の会社が一番納得してくれず往生することもあった。

ICSIDでの活動ではそういうことがないことを願っています。

■The International Council of Societies of Industrial Design (Icsid)のサイト

■執筆者
御園 秀一 日本デザイナー協会理事。株式会社テクノアートリサーチ顧問

■執筆者略歴
トヨタ自動車(株)デザイン本部副本部長、理事としてオールトヨタデザインをスーパーバイズすると共にデザインフィロソフィーの確立を導いた後、2004年にトヨタデザイングループ会社である(株)テクノアート代表取締役社長就任、2012年より現職。

千葉大学大学院客員教授。JIDA理事。

更新日:2015.11.15 (日)