Creative〔Arts〕Core (クリエイティブ〔アーツ〕コア | Industrial Design

Creative〔Arts〕Core (クリエイティブ〔アーツ〕コア

隠された領域を拓く

大倉冨美雄

タグ:デザイン論, 創造概念教育論, 産業社会構造論    カテゴリー:PEOPLE

本書の「はじめに」 を引用します。

はじめに

「クリエイティブ[アート]コア」と聞いても、何のことか判らない人ばかりかもしれない。

これはまったくの造語で、他にいい言葉が思いつかず仮に使い始めていたのだが、徐々に、これでいいか、いや、これしかないか、と思い始めている。

「クリエイティブ」だけは最近、あらゆる分野で使われていて、時代を現す流行語にさえなっている。「創造性」と訳すのが妥当だろうが、人工頭脳(AI)時代の到来に合わせて、人間の創造性もコンピュータの創造性もが問われているために使用頻度が上がっていると取れる。ただし本書は、あえて人間の側の知能(この場合「感性」のうちの視覚や体感が育てるもの)の社会力化とその保護発展を主題にしている。

問題は[アート]で鍵括弧をつけて使用しているが、これは誰でも思いつく単純な「アート(美術)」のことではないからだ。視覚を軸にした五感・体感が生み出し、それを「客観性・論理性・技術力を持って思考し表現する」ことに関わる所作を含んでいるからで、分野は大きく拡大する。そこで、定義の定まっていない「デザイン」をはじめ、建築や環境計画、まちづくりのような分野まで含むことになる。分化されたままの社会構造からみても、この分野にはいい日本語がなく[アート]としたのだ(映像・アニメ・ファッションも含むが、そちらの専門家に任すことにする)。

「コア」はこれらが、今後のAI化社会—特に日本の—にあって、産業的にも職能的にも、人間のためにも、ある中心部分を形成していく分野であることへの覚醒のうながしとして考えた。

本書は中・高校時代に、受験で「美術」などの勉強は無視した、つまり「視覚・体感的感性」について悩んだことは無いという人にも向いていると思う。その意味での、これからのトータルな人間像への欠損補填書のつもりでもある。

※ここから購入できます。

■執筆者 大倉冨美雄(おおくらふみお)
      大倉冨美雄デザイン事務所
     URL: http://www.okura-fumio.jp

■執筆者略歴
東京芸大卒。
大手電機メーカー勤務後、N.Y.のデザイン事務所を経てミラノの建築事務所勤務。その後独立し在伊10年に及ぶ。帰国後、デザイン事務所設立し今日に至る。

この間の要職
(社)日本インダストリアルデザイナー協会理事長(1999〜2004)、静岡文化芸術大学教授・学科長(2000〜2006)、(公社)発明協会意匠専門部会部門委員長(2007〜)、NPO法人日本デザイン協会理事長(2002〜)など。
その他、Gマーク選定委員、経産省・各種団体等の委員・理事、日本デザイン学会評議員、(公社)日本建築家協会支部デザイン部会長・同港地域会代表、港区(東京都)景観審議会委員、同まちづくりコンサルタント、小田原市行政戦略アドバイザーなどを歴任。

■著書
「デザイン力/デザイン心」(美術出版社)
「デザインシフト」(にっかん書房)

■読者へのメッセージ
この10月(2016)に小著を出版。時代の変革期にあって拡散し浮遊するデザイン概念
のさなか、これはぜひ読んでほしい。

 

 

更新日:2016.10.27 (木)