Web Magazine “Industrial Design” 創刊にあたって | Industrial Design

Web Magazine “Industrial Design” 創刊にあたって

公益社団法人 日本インダストリアルデザイナー協会
理事長 田中一雄

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Responsive imageかつて、日本インダストリアルデザイナー協会(JIDA)機関誌「Industrial Design」は、日本のデザイン潮流をリードする重要な媒体であった。

その購読者は、学生からプロフェッショナルデザイナー、デザイン教育者、製造産業関係者までと幅広く、常に先端的視点を提示し続け、大きな信頼を勝ち得ていた。
しかし時代の変化とともに、機関誌「Industrial Design」はその役割を終え、多様な情報媒体へとバトンを繋いでいく。一方JIDAにおいては、会員向け広報誌として「Hot Line」が創刊され、主に会員相互の情報交流の場として活用されてきた。

時は流れた。

今、情報媒体は電子メディアへと大きく変貌したのだ。
私たちを取り巻く情報環境は、ICTにより、その即時性・多様性・選択性が急速に拡大し続けている。今回ここに、Web Magazine “Industrial Design” が創刊されたことは大きな喜びである。このWeb Magazine “Industrial Design”は、購読対象を協会会員に留めるものではない。むしろ、多様なJIDAの活動を、広く社会に問いかけることにより、インダストリアルデザインの新たな発展に資することを目指すものである。

今日、デザインの「定義」、そしてその「対象」は大きく変化し続けている。従来のモノそのものを対象とした「美と機能」の追究は、デザインの変わらぬ役割として存在し続けていくだろう。その一方で、「コト」を対象とした仕組みの提示は、デザイン思考の名のもとに普遍化しつつある。また、「エンジニアリングとデザインの融合」は、幸せを生み出す新たなソリューションとして、デザインの境界線を越え続けている。JIDAでは一昨年の60周年記念事業テーマとして「デザインの基層と先端」を掲げた。Web Magazine “Industrial Design”においても、こうしたテーマを引き継ぎ、「変わらぬ基層とは何か」「次なる先端とは何か」を鋭く探求していきたい。

今回の創刊を機に、会員向け広報誌「Hot Line」は発展的に解消することとなるが、Web Magazine においては、引き続き協会の活動を幅広く共有するものとして、その役割を受け継ぐ。
今日JIDAにおいては、多様なテーマのもとに数多くの優れた活動が活発に行われている。このWeb Magazineでは、センター委員会とエリア・ブロックにおける活動を、これまで以上に、より有機的に連携させ広く社会に訴えていきたい。

社会とJIDAを繋ぐ場としての、Web Magazine “Industrial Design”に是非ともご期待頂きたい。

■執筆者
田中一雄 (たなかかずお) 公益社団法人日本インダストリアルデザイナー協会理事長

■執筆者略歴
㈱GKインダストリアルデザイン相談役
1956年東京生まれ。本籍:石川県 東京藝術大学大学院修了。㈱GKデザイン機構 前代表取締役社長。
(公財)日本デザイン振興会理事。国際インダストリアルデザイン団体協議会(ICSID)前理事。
中国国際デザイン産業連盟副委員長。
グッドデザイン賞、都市景観大賞、Red Dot Design賞 、Braun賞、if Shanghai賞、Australian・International Design賞、などの審査員を歴任。プロダクトから都市環境まで多様なデザインを手掛けている。技術士(建設環境)

更新日:2014.07.07 (月)