インダストリアルデザイン誌(創刊号)から | Industrial Design

インダストリアルデザイン誌(創刊号)から

伊奈史朗

タグ:インダストリアルデザイン誌    カテゴリー:NOTE

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2012年JIDAは創立60周年を迎えその記念事業テーマ「INDUSTRIAL DESIGN [Re-Start]~ジャパンデザインの基層と先端」を基に各地域でさまざまな事業を展開したのはまだ記憶にあたらしいところです。

新宿リビングデザインセンターOZONEで行なった同テーマ展の企画に携わり、1952年発足から現在までの日本の社会現象や産業的背景、デザイン、協会活動の年表パネルと年代毎代表製品の展示を通じて、先輩諸氏が手掛けられた製品と協会活動60年の足跡に敬意を表すと共に次代の展望を考える良い機会となりました。今回発行する機関誌[JIDA-Webマガジン]についても、これまで発行された機関誌からこれからの方向性を再確認することができます。  

機関誌は協会創立から6年を経た1958年に創刊され、誌名は「企業とデザイン」JIDA NEWS で隔月発行。B5判4頁。編集は豊口克平(当時理事)、発行は小杉二郎(当時理事長)。「JIDAニュース創刊に当たって/小杉二郎氏」「JIDAの生いたち/豊口克平氏」「貿易振興とデザイン/日本商工会議所会頭 足立正氏」「JIDA今年の仕事から/各委員会」「事務局だより」といった簡潔な内容でした。その後[JIDAニュース誌]は1964年から[JIDA]、1975年から[Industrial DESIGN]バイリンガル版の市販誌へと成長しました。  

今回発行に対し「JIDAニュース創刊に当たって」に意義あることが語られています「(前略)JIDAが成長してある段階に達したことや、工業デザインに対する認識が向上したこと、あるいは内外の情勢の発展等々が、JIDAニュースを発刊しなければならない時期になってきたのだと思われます。JIDAニュースは決してあくの強い宣伝をやるためのものではありません、あくまで正しい現状やその時々の公正なニュースをお知らせするためのものです。もう一つの原因も、企業家の方々に公正を欠くニュースや誤った工業デザイン界の実情なるものが流れることによって、企業家と我々デザイナーとの真面目なおつきあいを阻害することのないように、充分に我々の考えていることをお知らせしようということにあります。それと同時に、どうかこのJIDAニュースを利用されて、工業デザイナーに対するいろいろな希望や考えを、どしどしお知らせ願いたいと思います。希望、考え、苦言の交流によって適切なデザインも浮かんでくると思います。ささやかなニュース誌上ではありますが、我々はこれを生長させ十二分に利用したいと思っております。企業家の方々会員の方々の御援助をお願いします。」と。  

JIDA-Webマガジンのコンセプト「インダストリアルデザインという分野、デザインという概念、デザイナーという職能のプラットホームとなる」は、創刊で託された意思を受け継ぐものであり、そして60周年事業のさまざまな場で議論されてきたテーマでもあります。協会からの発信に留まらず会員、賛助会員は勿論の事デザインに関心のある一般の方々と大いに意見を交換し合える紙面になるよう共に取組みたいと思います。

■執筆者
伊奈史朗 公益社団法人日本インダストリアルデザイナー協会理事

更新日:2015.11.15 (日)