JIDAミュージアムセレクションから | Industrial Design

JIDAミュージアムセレクションから

Vol.14より「Yu・Wa・I」

上田幸和

タグ:JIDAミュージアムセレクション    カテゴリー:NOTE

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デザインミュージアム委員会でこれまでに選定いたしました製品の中からユニークな製品をピックアップしてご紹介いたします。

Yu・Wa・I「ゆ・わ・い」は、日本の伝統的な金封や結納飾りなどで使われている「水引」をデザイナーの新たな視点でプロダクツした画期的な製品です。

愛媛県の伝統産業として「現代の名工」にも認定された四国中央市の有高扇山堂と、デザイナーの田中行さん・プロディユーサーの佐野勝久氏によって開発された「水引」を現代に翻訳した大変素晴らしい製品です。

 Responsive image  田中さんは「水引本来の意味である「大切な想いを包み結ぶ」、日本のおもてなしの美意識を具体化した商品を提案することで、水引の新たな展開の幕開けを目指しました。伝統と現代のライフスタイルを融合した「ゆ・わ・い」は、水引に新風を起こしながら、なお水引の本来の姿を次世代に伝える役目を担ってくれると信じています。」と語ります。

2013年1月に六本木のAXISギャラリーで開催したJIDAセレクション東京展でも大変注目を集め、着眼点と造形のユニークさで好評を博しました。特にワインボトルを入れ上部の口元を無造作に結わえた時の美しさは格別で、伝統の結び目の様式とバッサりとした味わいが素晴らしく、日本人には元より海外の来場者にも大変人気が有りました。

JIDAセレクションの表彰式では有高智佳代専務が和服で来場され日本文化とその美意識の有り方を私達に再認識させて頂きました。専務もJIDAから選定された事を大変喜ばれたようで、セレクションをきっかけに地元の愛媛新聞でも取り上げられ益々注目を集める事に繋がりました。  Responsive image  

この「Yu・Wa・I」の例のようにJIDAがデザイナーの視点で、まだまだ注目されていない製品や後世に残すべき製品を取り上げてセレクションという事業で公に紹介することは、それなりの意義と社会的な効果が有ります。

(公財)日本デザイン振興会の運営するグッドデザイン賞やその他の賞また海外デザイン賞と、いかに独自性や差別化を図るかが重要で、このセレクションをスタートさせた当初の理念を引き継ぐことが多くの賞の中に埋没しない方策だと思います。

また一方で孤立化する可能性も有りますので、流動する社会的な価値をどのような評価基準に反映するかや実際の運営システムでそれを具体化して行くかが鍵となります。  

色々と難しい面もありますが、公益社団法人の使命として今後も継承すべき活動にして行きたい考えています。 

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■執筆者
上田幸和 有限会社インターデザイン研究所
(有限会社インターデザイン研究所HP http://www.inter-d.co.jp/

更新日:2015.11.15 (日)